ひきこもり支援は「いかにして社会復帰するか」から、「いかにして生き延びるか」という新たなフェーズへ突入した…

ライフプラン

きちんとした自炊ができないとしても、
せめてご飯は自分で炊けるように訓練しておきたいものです。
無洗米を利用すれば、料理が苦手な“お子さん”でも、
手軽にご飯が炊けます。一度にたくさん炊いて、
ご飯を小分けにして冷凍する方法も教えてあげましょう。



さて、ここに出てくるこの“お子さん”は、何歳くらいの子だと思います?

うちには小5の娘がいるけど、
彼女には、親が忙しく帰りが遅い時には、
これぐらいやらせたいな、と感じました。

さて、みなさんは?

この文章の冒頭部をみて見よう。

ひとり残されたお子さんの食事はどうすればよいのか。
親としては、もっとも気がかりなことといえるかもしれません。



この“お子さん”とは、親が高齢で亡くなったか、
或いは老人ホームに入った後に、
一人残されたひきこもりの“お子さん”です。

親が80際で亡くなったとすれば、
50歳くらいの、一般的には中年と言われる方でしょう。

これは、”ひきこもりが生涯続いても子を支えられるライフプラン”を考えるための、
斎藤環さんと、畠山雅子さんの著書『ひきこもりのライフプラン』からの引用。

この本を読んでいて、
特に後半の畠山さんの使う“お子さん”という語感に、
時間感覚というか、言語感覚というかが麻痺し、
まるで、近未来を舞台にしたSF映画を観ているような錯覚に襲われてしまった。

なんとも言えない歪みの中に引き釣りこまれ、まっすぐ立てないような揺れ。

しかし、これはリアルな現実だ。

ご飯を研ぐことができずに、無洗米を勧められている、
50歳の仕事をしたことがなく、外出して買い物することさえ、
ATMからお金を引き出すことさえもままならない、
中年期のひきこもった人の話だ。

ひきこもり支援を長くしてきた僕は、
ひきこもると時間が止まるのではなく、ある一線を超えると時間が戻る
と感じていたが、その感覚を軽く飛び越える内容だった。

この国には、一目につかずに、状態の差はあれ70万人、
一説によれば100万人もひきこもった人がいるという。

ちなみに、ひきこもりは男性に多く、国際的には日本と韓国が多く、
韓国には約30万人のひきこもりがいると推定されているそうだ。
その理由は、先進国では両親との同居率が70%以上と高いことが理由に挙げられるとのこと。

そんな彼らが高齢化し、平均年齢が30歳を超えてしまったことを受け、
「いかにして社会復帰するか」から、大きく舵を切り、
「いかにして生き延びるか」という新たなフェーズへ突入したのだ。

ファイナンシャル・プランナーの畠山さんの講演などでも、
そのニーズがここ最近、感じられていたという。

親が支えることができなくなったあとのサバイバル・プランを、
具体的に財産や負債を洗い出し、
数字で示し、リアルな現実に向き合いながら、
しかるべき時を迎えよう、というのが本書の狙いである。

斎藤環さんはこう書く。

「はじめてリアルな生存のテーマに接することで、堂々巡りから抜け出せるかもしれない」

このことに、僕は非常に共感した。
しかし、堂々巡りから抜け出せる可能性がある者は、
恐らく20代後半〜30代前半までの、やり直せる可能性のある層だろう。

お子さん一人の時期が(賃貸で)20年だとすると、
2000万円をゆうに超える生活資金を残してあげなければならない。



実際、40代以降の方がこの事実を見たら、
もはや虚脱感しか起こらないと思う。
けっこう親思いだったりする人も多いので、
「自分という負担」に打ちのめされてしまうんじゃないか。

それが凄く怖くなった。

40を過ぎようが、50を過ぎようが、
それでも人々の中で生き、何かをしたことで対価をもらい生きていける、
そんな社会の方が真っ当だと思った。

しかし、それがセンチメンタルだということから本書はある。

ただ、本書に出てくるモデル・ケースは持ち家で恐らく都市圏。
資産ありというモデルで語られている(事例には母子世帯も出てくる)。

保護者がすでに非正規雇用だったりする昨今。
ここで語られていることがリアルな現実とも思えないほど、
社会はものすごい勢いで第3フェーズに突入していしまっているようだ。

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