患者になって考えてみたラポール形成の5つのポイント

このブログでは報告してませんでしたが、ぼくは3月6日に左肘を2箇所骨折し、全治2ヶ月の診断を受けました。そして今日は、2回目のヒハビリの日。ぼくの担当は、ちょっとSな20代半ばの理学療法士Fさん(女性)。

前回、Fさんとのラポール形成が出来ていない状態で、骨折した腕の曲げ伸ばしをさせられたことが、とても苦痛で恐怖でした。この経験から、相談員という自分の専門性に重ね合わせ、ラポール形成の重要性をいろいろな角度から考える良い機会になりましたので、気付いた点をまとめてみたいと思います。ちなみにラポールとは信頼関係という意味で使っています。参考にウィキペディアの説明を貼っておきます。

ラポール (rapport) とは臨床心理学の用語で、セラピストとクライエントとの間の心的状態を表す。(中略)セラピストとクライエントの間に、相互を信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり感情の交流を行える関係が成立している状態を表す語として用いられるようになった。



ポイント1:初めての相談者にはこれから起こる見通しを説明。

まず、ぼくはリハビリとか、理学療法士さんと会うのがはじめてという不安があり、これから何が行われるのかの見通しが立っていない不安があったと思います。痛いの大嫌いなぼくは、この人は痛いことをするのか?しないのか?そんなことばかり考えています。そんなぼくには不信感しかありませんでした。

このことで、はじめて相談に訪れ、相談員にはじめて自分のことを語る若者たちに、見通しを説明することや不安であることを共有することが大切なんだと気付きました。施設の利用のルールや守秘義務の説明よりも、話したくないことは話さなくてもいいし、無理やり何かをさせることがないことをしっかり確認しておくことが大切ですね。

ポイント2:リファー元の担当者との関係性、引き継ぎ内容を明確に。

ぼくは整形外科の先生には全幅の信頼を寄せています。ですが、あの先生とFさんが大病院の1階と8階でコミュニケーションを取ってぼくの引き継ぎをしている可能性はゼロで、それが怖かったんです。この人、ぼくのことをわかってくれているのかな?という引き継ぎの不安です。

これは、高校内で担任の先生(=主治医)が、この件は石井さん(=理学療法士)に相談してみなさい、と言われた生徒がぼくに出会う前に抱く不安や、支援機関でよくあるリファーと同じ状況だと思います。少し脱線しますが、この心的ハードルを下げることこそが「ぴっかりカフェ」の狙いです。

このことから、リファー時の受け入れ側のポイントは、リファー元の担当者とのコミュニケーションの濃度をクライエントが知ることだということがわかります。「〇〇先生ってちょっと□□に似てるよね(笑)」なんていう軽いトークでも十分安心材料になるなと思いました。同行することが一番なことは言うまでもありませんが、その意味を改めて身を持って感じることができました。

ポイント3:適度な自己開示がラポールを生む。

ラポールができてない状態では、普通の治療(=質問)でも無理強いされているようなレイプ感があります。この痛みはヤバイんじゃないかと、「この人なんにもわかってないんじゃないか??俺の腕は折れてるんだぞ!!」いう強い危険信号がバンバン発信され、ついつい身体に力が入ります。

そんなときに、「力を抜いてくださ〜い」と笑顔で言われても筋肉は強張ったまま。こんな状態で心を開くのはとても難しいし、「緊張してます?(笑)」みたいなことが、「あぁ、この人ダメだぁ」と、ラポールを壊す可能性もあります。

このとき思ったのは、勤続年数だとか、得意技だとか、もっとあなたのこと(経歴)を教えてくれという感情でした。カンセリング的には自己開示にあたるものです。相手にもよりますが、「自分の趣味はギターだけど、○○さんの趣味は?」や「先週末はどこどこに行ってきました。○○さんはどこか行きました?」など、小さな自己開示の積み重ねが効果的だと思いました。

自己開示はラポール形成の過程では非常に重要な要素なのだと改めて思いましたが、しかし、これは効率的ではありません。だから、理学療法士とかキャリア・カウンセラーとか、資格でラポールを勝ち取ろうとしてしまいがちです。でも、傷ついた人間はそんなものを信用しないのです。怖いんです。ここもポイントですね。

ポイント4:効果や成果が最大のラポール

でも、施術を受けていると徐々に肘が伸びるようになるのが感じられたんです。痛みは骨の問題とばかり思ってたけど、実は筋肉の硬直だったことがわかったり。そのほぐし方も教わり、スキンシップの効果?もあり、リハビリが終了するときには、女王様Fさんとの次の予約の日が楽しみになっていました。

結局は、効果が最大のラポールになったわけです。でも、外科的施術は効果が目に見える形で表れるかもしれませんが、心の内面はなかなか変化の実感が持てません。この人に任せれば、良くなるかも、少し楽になれるかも。そんな感覚をセッションの最後に持ってもらえていれば、次につながるんでしょうね。

相談員として、ぼくは最近こんな経験をしました。「就労移行訓練をビジネスモデルとして解説してくれたのがわかりやすかったです。石井さんはどういう経歴のお方なんですか?」と、クライエントに言われたんです。これは、クライエントにはない知識や経験を持っていることを理解していただき、ラポールにつながった例です。リハビリでも専門知識がもたらす安心(ラポール)を感じる機会は多かったです。

ポイント5:クライエントからアプローチされるラポール形成を受け止める。

最後になります。2回目の今日は、ぼくのレントゲンをちゃんと見てることなどをさり気なく確認したりして、さらなるラポールの形成を”ぼくから”図りました。ポイント4で紹介した例の、「石井さんは」のくだりもこれに当たりますよね。このように、クライエントがカウンセラーをもっと信頼したい時に発せられる逆質問は、クライエントのラポールに不安があるときだということに気がつきました。。

きっと私たち支援者は、クライエントからのアプローチを自然に受けているんだと思うのですが、正直、ぼく自身はあんまり意識したことがありませんでした。これからは、気をつけていきたいと思います。

以上、長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。このように当事者となってみないとわからないことは本当にたくさんあり、今回の骨折はラポール形成について考えるいい機会になりました。現在、左肘は、痛みがあるものの110度まで曲がるようになってますし、違和感があるものの伸ばす方はもう問題ないとのことです。4月いっぱいで完治しましょうねと治療計画にもサインしました。頼りになるFさんにご協力いただき頑張りたいと思います。
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