ぴっかりカフェは、明確なニーズに対応するセレクトショップ型ではなく、なんかいいのないかと立ち寄れるユニクロ型なのかという話

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あなたはショップに入った途端、ナイスな笑顔で店員がすり寄って来そうなセレクトショップに入るのが苦手だったりはしないだろうか?

ぼくは苦手だ。でも、例えば娘のバースデー・プレゼントを買うなら、店員に相談をしてみたいと思うだろう。つまり購入する気が満々=「ニーズが明確」であればナイスな笑顔の店員はウェルカムなのだ。

でも、たいていの場合、「何かいいものないかな?」くらいの思いで、ブラブラとウィンドウショッピングを楽しみ、なければ無理に買うのはやめようと思っているのではないだろうか。つまり「ニーズが不明確」なままモールを彷徨ったり、彷徨うこと自体を楽しんでいたりしていないだろうか。

セレクトショップが苦手な理由は、ナイスな笑顔で近づいてくる店員に不本意に買わされたくなかったり、信頼関係も構築されてないのに自分の時間にカットインされる時間侵害に対する許せなさなんだと思う。

この顧客心理を上手くわきまえ、店内の居心地を演出しているのがユニクロだろう。店員は「必要な時に的確なお声かけができる」よう、客を観察はしているが、無闇に声を掛けてはこない接客スタイルをとっている。何かお値打ちで良い物はないかという漠然としたニーズの客を心地良く泳がせ、、マネキンが着ているコーディネートに釣られて買うくらいが丁度良いのかもしれない。

現在、高校内居場所カフェ事業と呼ばれている動きが、大阪を中心に盛り上がりを見せており、ぼくが代表理事を務めるNPO法人パノラマも、神奈川県立田奈高等学校で「ぴっかりカフェ」を昨年12月から運営している。

ぽつりぽつりと入ってくる他の居場所カフェの情報を聞きながら思ったのが、上述したアパレルショップのスタイルとこの仕事は似ているんじゃないかということ。差し詰め、「ぴっかりカフェ」は店員が積極的な接客をしないユニクロ型で、他の空き教室利用等の居場所事業はセレクトショップ型なのではないかと思う(見学経験ゼロなので想像です)。

ぴっかりカフェがユニクロ型である絶対的な理由は、そもそも「ぴっかりカフェ」が「ぴっかり図書館」という既存の学校のリソースの中にあり、図書館自体=即ち司書の役割が、積極的な接客をする職業的スタンスではないことで間違いない。

また、ぼくの支援者としてのベースが宿泊型支援施設で培われており、24時間、利用者とスタッフがともに過ごす故に弛緩の部分の演出が絶対的に必要で、積極的放置というか、干渉しないことで居心地を保つというスタイルが身に染みている点も、「ぴっかりカフェ」の雰囲気を司る成分としては大きいんだろうと思う。

そして、司書と私の職業的共通点は、実はクライエントをもの凄く観察していて、困っていそうならすっと声を掛け、ニーズを素早く探り当て“ご案内”できるというもの。ちなみに、これはユニクロの接客方法にも当てはまる。

結論を急ぐと、「漠然とした不安」に対応しやすいのがユニクロ型で、「明確なニーズ」に対応しやすいのがセレクトショップ型なのかもしれない。ただ、ぼくが4年前に個室相談を嫌い、図書館相談を希望した原点は、明確なニーズが合っても、高校生は顔の見えない相談員=知らない大人に心を開かない、会ってさえもくれないだろうという想定があったらという点は押さえておくべきだと思う。

「ぴっかりカフェ」はナイスな笑顔の店員が寄って来ない敷居の低さが、毎回200名近い生徒の利用数(生徒の3人に1人が利用)につながっているのは間違いないと思うわけだけど、明確なニーズを持った生徒たちをキャッチするセレクトショップ的対応は出来ていないのも事実だ。

この辺は、パノラマ理事の鈴木晶子さんのブログ「ぴっかりカフェの予防効果に関する仮説(前編)」で紹介している予防の類型ともリンクしてくる。

(1)第一次予防
健康な人を健康なままに保つことに狙いを定める予防活動。リスク要因をターゲットにする方法と、すべての人をターゲットに保護要因をターゲットにして健康を増進する方法の二つがあると言われます。

(2)第二次予防
早期発見、早期介入により、問題を「つぼみのうちに摘み取る」ことを目的とする活動。

(3)第三次予防
既に問題を持って機能できない状態になっている人を対象に、今以上の障害や社会的不利益を被るのを防ぎ、できる限り正常な状態に戻ることを目的とする活動。



ユニクロ型の「ぴっかりカフェ」はこの類型の中の第二次予防を中心とした作りになっているんだと思う(でも真ん中の2次予防だからこそ、1次にも3次にアプローチが可能)。そして、セレクトショップ型の居場所カフェは、第三次予防を中心とした作りになっているんではないだろうか?

これはどっちが良いとか悪いではなく、こういう特徴を言語化し語ることで、はじめて自分たちが運営している場のメリットとデメリットが理解でき、今、何をどう注意するべきかを考えることができるたたき台が出来上がり、仮説と検証のクラッシュ&ビルドを繰り返しながら世論を味方につけ、行政を動かし得る実態を持つコミュニティー形成を手助けする営みだということが、とても大事なのだ。

コミュニティの共通言語や共通スタンスを作っていく、こういう地味で時間のかかる作業を本当に大切にしていきたい。
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