日本初の高等学校図書館内での居場所カフェ事業「ぴっかりカフェ」奮闘記〜支援機関の敷居の高さは目的の単一化。カモフラージュできる場でしか拾えないニーズを若者支援者は知らない〜

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NPO法人パノラマでは、日本初の高等学校図書館内での居場所カフェ事業「ぴっかりカフェ」の運営に取り組んでいます。誰も見たことのない現場で起きてる実態を、未消化かもしれませんが、出来るだけリアルタイムに近い形で全国の教育や支援関係者の皆さまに届け、一緒に消化していきたいと思い、いつも中途半端に終わるシリーズものとして、しばらく書いてみることにしました。

この事業はもともと、パーソナル・サポート・サービスの相談員として神奈川県立田奈高等学校での出張相談をぼくが担当することになった際に、個室の相談室ではなく図書館での相談を希望してはじまった、図書館での交流相談「田奈Pass」(現在はNPO法人ユースポート横濱が引き継ぎ運営継続中)がベースにあり、そこに大阪の西成高校で、(社)Officeドーナツトークがはじめた「となりカフェ」を大胆にハイブリットさせるというアイデアではじまったものです。

「ぴっかりカフェ」の俯瞰した社会的意義については、パノラマ理事の鈴木晶子のこちらの記事をお読みください。また、「田奈Pass」の交流相談については、「高校生の潜在的ニーズを顕在化させる学校図書館での交流相談 : 普通科課題集中校における実践的フィールドワーク」をご参照いただけると全体像が把握出来ると思います。

カモフラージュ出来る場

例えばこの間、カフェにヒアリング兼ボランティアに来た後輩支援者が、振り返りで「隅っこでドリンクももらわずにずっと本を読んでた生徒がいた。ああいう生徒にもっとリーチしないとダメなんじゃないか」ということを言っていました。

「う~む…」。まず、ここは図書館だから、隅でずっと本を読んでることは当たり前のことなんですよね。この話を途中まで「そっかそれはいけない」と思って聞いていた司書さんが「でもここって図書館だ!」ということに不意に気付き大笑いしていたんだけど、ここは居場所=フリースペースでもあるので話さない自由は尊重したいし、改めて言うと図書館というリソースを生徒から奪いたくはないんですよね。

でも、生徒はスタッフに話しかけられるのを、本を読むふり=カモフラージュして待っていたのかもしれないし、本当にただ本を読んでいただけなのかもしれない。単純な反省として「なにか飲み物はいらない?」と軽く声を掛ければよかったんですけど、ほっとかれる楽さ、でもそこに自然にいられる安心感ってあるじゃないですか、それが居場所なんじゃないかとぼくは思うわけです。だから、無闇に距離を縮めたくないんです。

サポステのような一般的な通所型の支援機関で、入口まで来たのに何も声を掛けなかったら、二度と会えないかもしれないけど、ぴっかりカフェなら、今日声を掛けなくても学校には来ているわけなので、確率が下がるかもしれないけどまた会えるし、引き継ぎをしておけば、後追いが必要な生徒か、ただ本を読みに来た生徒かも、だいたいわかります。

所属がある方の支援と、所属を失ってしまった方の支援の差ってこういうことですよね。でも、若者支援者たちは、所属を失ってしまった若者しか基本的には支援していないので、この泳がす感じが馴染まないんだと思います。近いとすると、どこかに「管理」がある生活保護受給者の方のケースワーカーからのリファーに近いと思います。

この辺が、一般の支援機関のアプローチとは変わる部分というか、変えれる部分であり、ぼくからすれば可能性なんですよね。ここを潰すような動きは生徒の居心地を考えてもしたくないんです。これが空き教室に設置された居場所や、相談だけが目的の他の支援スタイルとの決定的な違いであり、ぴっかりカフェの強みはここにあると思うんですよね。

支援機関の敷居の高さは目的の単一化

支援機関というのは、一般的には目的が相談に単一化していて、入り口をくぐった者は皆、なんらかの相談をする困ったことを抱えている人ということになります。だから、支援機関を見に来たけど、中に入れずに帰るということが支援者の知らないところで起こるわけです。

ぴっかりカフェのような既存の機能(図書館)に新たな機能を加えるパラサイト型の相談窓口には、場自体に複数の目的があり、入り口をくぐっても目的は人それぞれでバレないんです。これって、本当に大事なことなのに、支援する側の我々はこのことに本当に鈍感で(ネーミングにそれが顕著かも、そんな名前の場所、団体には行きたくない!)、これらは強者の理論で出来上がったものだと思います。

例えば、入ったら絶対店員が近づいて来て、洋服を勧められ買わされるだろうなと思うショップには入り難いですよね? 何も買わなくてもいい、店員も近づいて来ない。でも、必要な情報があればすぐに聞くことが出来るショップ。そんなユニクロみたいなショップ、それがぴっかりカフェじゃないかと思います。

要するに支援ニーズをカモフラージュする“言い訳” を作ることが「本を読む」ことでできるわけです。これは、なんらかの困ったことを抱え、傷ついたナーバスな感情や、大人への不信感から、心情を打ち明けるに相応しい相談員なのかを吟味する時間が欲しい生徒にとっては、敷居の低い楽チンさがあるわけです。

これって、ぼくが個室ではなく図書館を希望した根源的な理由に結局は帰結するんですよね。

まあ、案の定あんまりまとまりませんが、次回は、いろいろな形態にカモフラージュしてスタッフに近づいて来ている生徒と、そこから相談のフェーズに移行させるなんとなくなくな方法論について語ってみたい思います。
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