「既卒三年以内は新卒扱い」が浸透していない社会で就活を続ける86.5%の既卒者に対して思うこと+5つのアドバイス

「既卒三年以内は新卒扱い」は建前なのか?

なんとなく難しそうだなと思っていたけど、どうやら経団連が倫理憲章の改定で言っている「既卒三年以内は新卒扱い」というのは、「2012年度マイナビ既卒者の就職活動に関する調査」の、既卒者の内定率が23.6%というデータなどを見る限り、現状ではまだまだ浸透していないようだ。

その浸透しない背景がよくわかるのが (株)ディスコのフェロー 恩田敏夫氏のこちらの記事。新・既卒大学生とその保護者及びキャリア支援をしている方は是非、一読しておくことをお勧めする。その中から、心臓の弱い既卒者は読まない方がいいような一節を引用させていただくと…。

採用担当者の多くは「就職できなかったのはコミュニケーション能力や積極性を欠くなど、それなりの理由があったからで、よほどの努力がなければ、そうしたものは 1~2 年で身に付くとは考えにくい」というのが本音だ。「既卒はあまり優秀ではない。同レベルなら既卒ではなく新卒」と言い切る採用担当者も少なくない。


正社員にならなければ生きていけない社会で

このような企業の態度を受けてか、マイナビのデータを眺めていると、既卒者のモチベーションも当然のことながら下がっているのが見て取れる。

大学在籍中の学生の企業エントリーの平均が57.7件だったのに対し、卒業後のエントリーは25.0件、エントリーシート提出は22.1件から11.9件に減少し、面接受験も17.0件から5.9件と、どれも半減かそれ以上の落ち込みを見せている。それなのに、未内定者の活動終了予定時期は「就職先が決まるまで継続」(86.5%)が大多数を占めているという。

先ほどの人事採用担当者のリアル過ぎる発言の引用と、(たとえそれが決意票だとしても)就職先が決まるまで頑張るという健気な既卒者たち…。それをただ単に「頑張れ!」と、僕らは鼓舞し続けなければならないのだろうか?或いは大学在籍中の怠けのせいだと自己責任で片付けてしまっていいのだろうか?

そんなセンチメンタルな気分を断ち切るように「結局、この国は正社員というレギュラーメンバーにならなければ生きていけないのだから頑張るしかないでしょ」という既卒者たちの声が聞こえてきそうだ。

教育と雇用の接続で立ち竦む若者たち

内閣府の自殺対策白書によると、20歳〜39歳の死亡理由の第一位は自殺である(19歳未満は事故、40歳以上は病気)。中でも20歳〜24歳の自殺率がもっとも高く、これは恐らく、この年頃のライフイベントである大学生の卒業と就職、もっと細分化すれば就活の時期から、就職して数年目、或いは早期離職や進路未決定になった時期である。

つまりは教育と雇用の接続期に、就活・就職が上手くいかずに死を選ぶ若者たちがいる。そして、死を選んだ氷山の一角の若者の水面下に潜む、自殺念虜を抱える若者たちの苦悩を想像してほしい。

就職先が決まるまで就活を継続するという既卒の若者たちに、僕は頑張れという励ましを躊躇する。これは恐らく、そんな若者を持つ保護者も同様なのではないだろうか?もしも僕が、そんな若者や保護者から相談を受けたら、恐らく現状の頑張りを労いつつ、キャリア・カウンセラーとして頑張り方を変える支援をすると思う。

想像するには以下のようなことが考えられるだろうか。ひょっとしたら何かのお役に立てれば嬉しい。

既卒者に対する5つのアドバイス

1.自分が求職中であることをもっと友人知人にアピールし非公開求人にアプローチする。
(あなたが見ている求人は恐らく公開求人だけではないだろうか?世の中には求人票を出さない求人がけっこうある。無職であることを恥に思わず、「こんな仕事があったら教えて!」と言い回ろう)

2.就職活動に一辺倒にならず、関連業界や類似スキルの業界でのアルバイトやボランティアもやってみる。
(これも非公開求人へのアプローチ。また就職活動という名のブランクを作らないことも重要。何よりもお金を稼いでいないという状態があなたの自己肯定感を奪う。)

3.いきなりゴールを決める就活ではなく、20代に2社を経て辿り着く戦略の見直し。
(どんな仕事でも3年続けてみることがキャリアの礎になるし、その仕事が大好きになればラッキーだ。人事担当者へのアンケートによると、担当者が離職を気にするのは3社目からという)

4.そもそものエントリーシートと面接での技術的な見直し。
(ひょっとしたらあなた自身に自分では気付いていない課題があるかもしれないので、一度プロにしっかりチェックしてもらおう。地域若者サポートステーションにはキャリアカウンセラーが常駐し、あなたの相談に親身に乗ってくれる)

5.2の発展系としてサードプレイス的活動の強化。
(ファーストプレイス=家からだけのアプローチだけではなく、サードプレイス=地域コミュニティとのつながりを持ち、ソーシャルキャピタルという人的資源を増やすことで解決を模索してみよう。つまり僕が言いたいことは、これ)

新卒みなしの社会的浸透はやり直しのきく社会の第一歩

教育と雇用の接続にコケルと一生コケタまま持ち直すことが難しいのが、この国の“やり直しのきかなさ”の根源にあるのではないかと僕は感じている。それは、取りあえずフリーター→なんとなくニート→しょうがなくひきこもり…となった若者たちと多く出会って来たからに他ならないのだが、そんな僕がつくづく願うことは、教育と雇用の接続をもう少し緩やかにつなげれないものかということだ。

そして、できれば在学中のキャリア教育の強化や就労支援よりも、「既卒3年以内は新卒扱い」が社会的に浸透し、教育と雇用の接続時期がゆるやかになることの方が、いろいろな意味で大事だと思う。「いろいろな意味」については長くなったので、またの機会に。
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