2015年07月

発達障がいの若者とぼくの回想 〜あのころのミラクルをもう一度〜

発達障がいの若者と、ぼくの出会いは2000年に遡る。当時、若者支援の現場にはまだ発達障がいという言葉は流通していなかった。

「あいつはなんなんだろうな?よくわからないんだよ」と現場は頭を抱え、「自己紹介は全然出来ないくせには作業は人一倍にできた」という報告にますますわからなくなった。

そこに「あいつは発達障がいだよ」と言うヤツは1人もいない。

故に「発達障がいだからしょうがない」という言葉では逃げられなかった時代でもあった。だからぼくらは頭を抱え知恵を絞った。あの葛藤の日々が今の自分を作ったのだと思っている。

求められる支援成果としての就労と、若者が抱える生きづらさの狭間で、あの頃の支援者は悩んでいた。

でも、今思うと随分あっけらかんと悩んでいたように思う。

なぜなら、「なんとか工夫すれば働けるようにはなるだろう」と、決して働けない人とは見ていなかったし、よく付き合い、可愛がっていたなと思う。まあ、これが苦痛だった若者もいただんだろうなと今になってわかるんだけど。

そんな日々の中で、今思えば発達障がいの若者が雇用されるのを多く見て来た。スタッフは飛び上がって喜んだものだ。

ぼくはそれを冗談まじりに「ミラクル」と呼んでいた。

偶然起こる単純な「奇跡」とは別物だからだ。

それは偶然を必然に変える本人の能力が引き起こすもの。そんな支援をしていた自負もある。

よく付き合い、可愛がることで、一度もスポットライトに当たったことのない若者にスポットライトが当たり、自己肯定感が育まれた、その結果の「ミラクル」。

今の就労支援機関では、そのミラクルが「あいつは発達障がいだよ」の一言で起きなくなってしまった。

そのミラクルを起こすのが「スキッパー」のような親の会ではないかとぼくは期待している。

 (株)シェアするココロ 石井正宏

上記は、9月に行う発達障がいのお子さんをお持ちの親の会、日野・発達障害を考える会「スキッパー」さんでの講演会に先立った、ぼくの挨拶文に加筆したものです。
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「ぴっかりカフェ」カレーパーティーのご報告とお礼

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本日(7/23)は、「ぴっかりカフェ」初のカレー・パーティーを、多くの皆さまのご協力によりする開催することができました。石井の個人ブログからになりますが、法人を代表してお礼を申し上げさせていただきたいと思います。

まず、多くの食材寄付者の皆さま、お陰さまで無事カレーを作ることができました。また、パノラマ・スタッフ及び田奈高校の教職員の皆さま、そして何よりも生徒たちが、応援者の存在を強く実感し、勇気や励ましをいただきました。食材と併せ、「ご馳走さまでした!」と申し上げたい気持ちでいっぱいです。

食材寄付者の方々が、口を揃えるように「また次やるときは言ってね」とおっしゃっていただいたと報告を受けています。これは甘えないわけにはいきません(笑)。ということで、次回はクリスマス・パーティーを同様な形式で開催することに致しました。正式に日程が決まりましたら、改めてお願いしたいと思っていますので、何卒よろしくお願い致します。

これはぼくの勝手な想いですが、一度やってイメージがつかめたので、今度は食材寄付者の皆さまを0円食堂のように、お招きできたらと考えています。

地元の方々が地元の課題に主体的に、そして無理なくできることで関わることで起こるであろう“コト”を、今回の経験で私たちはポジティブに想像することができるようになりました。今後も、様々な形で地元サポーターとして、関わり続けていただきたいと思います。

地元農家の皆さまと、「ぴっかりカフェ」をつないで下さった『森ノオト』の北原まどかさんにも感謝の気持ちでいっぱいです。(『森ノオト』さんに、「図書館内カフェで生徒の居場所をつくる。田奈高校「ぴっかりカフェ」の取り組み」という素敵な記事がアップされておりますので、是非ご一読を)

そして、毎月最終週にご協力をいただいています、あざみ野のスペース・ナナの皆さま。本日は5名のボランティア参加、ありがとうございました。生徒たちとの自然の関わり、さりげない心遣いあるサポートを見るたびに、ありがたい気持ちでいっぱいになりました。

包丁の使い方や、食材の切り方、料理の手順等、勉強に限らず、ものを教え教わる関係から生まれる信頼関係は、「知識」と「ありがとう」のプレゼント交換のようだと感じました。

また、先生方とのフレンドリーな交流が最高でした。「美味しいカレーを作って生徒たちと楽しく食べる」というミッション共有をした大人たちの垣根を越えた協力関係は、ざっくばらんな清々しさに満ち溢れていました。

行き当たりばったりで無計画な進行を物ともせず、ミッションに邁進する姿は、かっこいいの一言です。ああいう人と人のリアルなやり取りを何気なく生徒たちが見ることで、地域や大人たちに対する期待感が膨らむんだろうなと思いました。

そして、ご多忙な中、主体的にカレーパーティーに関わって下さった多くの先生方、ここ数日の準備、本当に感謝致します。学校とNPO法人の連携事業が活きるか死ぬかは、双方の主体性であると常々と思っておりますが、本当に素敵なコラボレーションができている幸せを今日も実感させていただきました。ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。

実は今日、サプライズなゲストが調理室を訪ねて下さいました。30年前に田奈高校を卒業したという吉岡さん(写真真ん中)という方です。田奈高時代の武勇伝はここには書けないことばかりですが(笑)、母校での取り組みを応援したいと駆けつけ、寄付までしていただきました。大切に使わさせていただきたいと思います、ありがとうございました。

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ありがとうの言葉に溢れた一日の最後に、もう一度言わせて下さい。

「皆さま、ありがとうございました」

NPO法人パノラマ
代表理事 石井正宏

追伸:皆さまにお見せしたい写真が沢山あり、随時パノラマのフェイスブックにアップしていきますので、お楽しみいただければと思います。

「ぴっかりカフェ」でカレーの食材を寄付の求めていますm(_ _)m

皆さま、いつもNPO法人パノラマの応援をしていただきありがとうございます。いつもの更なるお願いとなり恐縮ですが、どうか、活動に共感してただけましたら、ご協力よろしくお願い致します。

高校生は夏休みが近づいて来ています。元祖高校居場所カフェである一般社団法人Officeドーナツトークさんが運営している西成高校の「となりカフェ」では、夏休み中にも居場所を提供していて、毎回20名前後の生徒の来店があると聞いています。

夏休みに高校に行った記憶が一切ないぼくがその数字を聞いたとき、「なんで夏休みにそんなに多くの生徒が学校に行くんだ?」と、素で思ったわけですが、どこにも行けず退屈している生徒や、ひょっとしたら家の中にも居場所がない生徒もいるだろうと後からジワジワ想像すると、そのニーズの高さが切なく思えたものでした。

今回、はじめての夏休みを迎える「ぴっかりカフェ」の夏休み中の営業をどうしようかと先生方と話合い、西成の報告も参考に、居場所を提供したいと考えました。ニーズは各校違うので、一度お試しで開催し集まりが良ければ、夏休み中の定期開催を検討しようということになりました。

そこで、せっかくなのでみんなで美味しいカレーを作って食べようと「ぴっかりカフェのカレーパーティー」を企画しました。

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このパーティーをオーガナイズしてくれるのは、毎月最終週にコラボレーションしている世話焼きお母さん集団のNPO法人スペースナナさんにお願いしていますので、美味しいカレーができること請け合いです!

なんとなく生徒に「やったら来る?」と聞くと、かなり良い手応えもありました。また、3年生の就活生は企業訪問の真っ最中で、多くの生徒が学校にいる見込みですので、最大50名の生徒と10名のボランティアのカレーを作りたいと思ています。

開催日は7月23日(木)です。そこで、大変恐縮ながら、皆さまに食材のご寄付をお願いしたいと思っています。いくつか寄付の目処が立っているものがあるので、以下が畑で採れ過ぎたとか、もらったんだけど食べきれない物等、あれば、前日までに田奈高校までお送り下さい。

〒227-0034 神奈川県横浜市青葉区桂台2丁目39−2
神奈川県立田奈高等学校 松田ユリ子



寄付食材が集まり、地域の方と一緒にカレーを作り食べ、交流することが成功すると、いろいろなことがここから始まるような気がしています。コンセプトいつも漠然としててすみませんが「地域で子どもを育てるあの感じ」を目指したいと思いますので、是非、ご協力下さい。

以下の食材を希望していますが、サラダも作りたいですし、カレーですしなんでもありがたいです。

• なす
• トマト(or トマト缶)
• タマネギ
• かぼちゃ
• エリンギ
• 人参
• ピーマン
• ニンニク
• しょうが
• スイカ
• ズッキーニ
• カレールー(銘柄及び辛さなんでも)
• 福神漬け

すでに寄付の見込のある食材
• お米
• ジャガイモ
• お肉(お金はあるけど時間がない卒業生が提供!)
• きゅうり

お問い合わせは npo.panorama@gmail.com 担当石井までご連絡下さい。

7.15 ぼくは、新たな安保法案に反対です。

大江健三郎を読み耽っていた20代の青臭いぼくは、心の底からデモに参加してみたかったと、嫉妬にも近い感情をその作品群に抱いていた。

平和で争いのない時代に生まれてきてしまったことが、なんだか物足りないようにも感じていた。

学園闘争に没頭していた世代の話にわくわくと耳を傾け、右でも左でもいいから、何かに「NO!」と叫んでみたい、そんなことを思ってた時代がぼくの中にある。

安保闘争は完全に過去のものだったはずなのに、今日、国会議事堂には多くの人々が集まりデモをやり、安倍政権に対して「NO!」と叫んでいる。

実際にこんな事態になってみると、青臭かったぼくは、なんて愚かな憧れを抱いていたんだろうと思う。

平和で争いのない時代に生きる幸せを、改めて安倍首相は皮肉にも教えてくれたが、それを維持するために戦争が出来るようにしておく必要があるという理屈は受け入れがたい。

何かに対して、こうまでして「NO!」と叫ばなければならない事態が、成熟したかのように見えた民主主義国家で、このような形で平然と起こるのかと唖然としている。

ぼくは、新たな安保法案に反対です。

大江健三郎が描いていたデモクラシーに乗り切れない青年の憂鬱が乗り移ったような朝、ぼくはいつも通り若者たちの相談を受けています。

【登壇情報】困難を抱える若者のキャリア形成・雇用創出支援研究会のお知らせ

困難を抱える若者のキャリア形成・雇用創出支援研究会のお知らせ

日 時:7月31日(金)18:30-20:30

場 所:横浜市立大学金沢八景キャンパス 文科系研究棟1F大会議室

参加費:無料

テーマ:小中学生の居場所づくりと困難高校生のキャリア支援をつなげて考える

報告者:富岡克之さん(よこはまユース)石井正宏さん(NPO法人パノラマ)

内容:貧困など困難を抱える子ども・若者支援を進めて行くためには、学童の頃から成人に至るまでの継続的な支援を展開していくことが大切になります。「よこはまユース」は、これまで小中学生を中心とした青少年の居場所づくりを進めてきました。一方でNPO法人パノラマ(&(株)シェアするココロ)は、県立の課題集中校でぴっかりカフェを開き、バーターンという形で困難を抱える若者の就労支援を進めてきました。

このような「よこはまユース」の小中学生を中心とした居場所づくりの取組と、「NPO法人パノラマ」が展開している高校生の就労支援の取組を、つなげて考えることで、困難を抱える子ども・若者の継続的・包括的な支援のあり方について考えます。

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ぴっかりカフェは、明確なニーズに対応するセレクトショップ型ではなく、なんかいいのないかと立ち寄れるユニクロ型なのかという話

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あなたはショップに入った途端、ナイスな笑顔で店員がすり寄って来そうなセレクトショップに入るのが苦手だったりはしないだろうか?

ぼくは苦手だ。でも、例えば娘のバースデー・プレゼントを買うなら、店員に相談をしてみたいと思うだろう。つまり購入する気が満々=「ニーズが明確」であればナイスな笑顔の店員はウェルカムなのだ。

でも、たいていの場合、「何かいいものないかな?」くらいの思いで、ブラブラとウィンドウショッピングを楽しみ、なければ無理に買うのはやめようと思っているのではないだろうか。つまり「ニーズが不明確」なままモールを彷徨ったり、彷徨うこと自体を楽しんでいたりしていないだろうか。

セレクトショップが苦手な理由は、ナイスな笑顔で近づいてくる店員に不本意に買わされたくなかったり、信頼関係も構築されてないのに自分の時間にカットインされる時間侵害に対する許せなさなんだと思う。

この顧客心理を上手くわきまえ、店内の居心地を演出しているのがユニクロだろう。店員は「必要な時に的確なお声かけができる」よう、客を観察はしているが、無闇に声を掛けてはこない接客スタイルをとっている。何かお値打ちで良い物はないかという漠然としたニーズの客を心地良く泳がせ、、マネキンが着ているコーディネートに釣られて買うくらいが丁度良いのかもしれない。

現在、高校内居場所カフェ事業と呼ばれている動きが、大阪を中心に盛り上がりを見せており、ぼくが代表理事を務めるNPO法人パノラマも、神奈川県立田奈高等学校で「ぴっかりカフェ」を昨年12月から運営している。

ぽつりぽつりと入ってくる他の居場所カフェの情報を聞きながら思ったのが、上述したアパレルショップのスタイルとこの仕事は似ているんじゃないかということ。差し詰め、「ぴっかりカフェ」は店員が積極的な接客をしないユニクロ型で、他の空き教室利用等の居場所事業はセレクトショップ型なのではないかと思う(見学経験ゼロなので想像です)。

ぴっかりカフェがユニクロ型である絶対的な理由は、そもそも「ぴっかりカフェ」が「ぴっかり図書館」という既存の学校のリソースの中にあり、図書館自体=即ち司書の役割が、積極的な接客をする職業的スタンスではないことで間違いない。

また、ぼくの支援者としてのベースが宿泊型支援施設で培われており、24時間、利用者とスタッフがともに過ごす故に弛緩の部分の演出が絶対的に必要で、積極的放置というか、干渉しないことで居心地を保つというスタイルが身に染みている点も、「ぴっかりカフェ」の雰囲気を司る成分としては大きいんだろうと思う。

そして、司書と私の職業的共通点は、実はクライエントをもの凄く観察していて、困っていそうならすっと声を掛け、ニーズを素早く探り当て“ご案内”できるというもの。ちなみに、これはユニクロの接客方法にも当てはまる。

結論を急ぐと、「漠然とした不安」に対応しやすいのがユニクロ型で、「明確なニーズ」に対応しやすいのがセレクトショップ型なのかもしれない。ただ、ぼくが4年前に個室相談を嫌い、図書館相談を希望した原点は、明確なニーズが合っても、高校生は顔の見えない相談員=知らない大人に心を開かない、会ってさえもくれないだろうという想定があったらという点は押さえておくべきだと思う。

「ぴっかりカフェ」はナイスな笑顔の店員が寄って来ない敷居の低さが、毎回200名近い生徒の利用数(生徒の3人に1人が利用)につながっているのは間違いないと思うわけだけど、明確なニーズを持った生徒たちをキャッチするセレクトショップ的対応は出来ていないのも事実だ。

この辺は、パノラマ理事の鈴木晶子さんのブログ「ぴっかりカフェの予防効果に関する仮説(前編)」で紹介している予防の類型ともリンクしてくる。

(1)第一次予防
健康な人を健康なままに保つことに狙いを定める予防活動。リスク要因をターゲットにする方法と、すべての人をターゲットに保護要因をターゲットにして健康を増進する方法の二つがあると言われます。

(2)第二次予防
早期発見、早期介入により、問題を「つぼみのうちに摘み取る」ことを目的とする活動。

(3)第三次予防
既に問題を持って機能できない状態になっている人を対象に、今以上の障害や社会的不利益を被るのを防ぎ、できる限り正常な状態に戻ることを目的とする活動。



ユニクロ型の「ぴっかりカフェ」はこの類型の中の第二次予防を中心とした作りになっているんだと思う(でも真ん中の2次予防だからこそ、1次にも3次にアプローチが可能)。そして、セレクトショップ型の居場所カフェは、第三次予防を中心とした作りになっているんではないだろうか?

これはどっちが良いとか悪いではなく、こういう特徴を言語化し語ることで、はじめて自分たちが運営している場のメリットとデメリットが理解でき、今、何をどう注意するべきかを考えることができるたたき台が出来上がり、仮説と検証のクラッシュ&ビルドを繰り返しながら世論を味方につけ、行政を動かし得る実態を持つコミュニティー形成を手助けする営みだということが、とても大事なのだ。

コミュニティの共通言語や共通スタンスを作っていく、こういう地味で時間のかかる作業を本当に大切にしていきたい。
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