グレート・イミグレーション〜偉大なる移民たち〜

Radikoの破壊的イノベーション「タイムフリー」が出来てから、ぼくはラジオばかり聴いている。とは言え、ラジオを聴けるシチュエーション(主に移動時)の総時間と、聴きたい番組の総時間を考えると、聴いている番組はほぼ限定されるんだけど。

そんな番組のひとつに、J-Waveの『JAM THE WORLD』がある(FM東京の『TIME LINE』の方がメインで、ぼく的にはこっちはサブ。どちらも日替わりのナビゲーターが各自の専門性やキャラに応じて番組が構成される類似番組)。

『JAM THE WORLD』の中に、「LOHAS TALK」という、ソトコトの編集長、小黒一三さんがナビゲーターを務め、毎回多様なゲストとおしゃべりするというコーナーがあって。その日は、「グレートジャーニー(アフリカで生まれ人類が世界に拡散した軌跡を辿る旅)」で有名な探検家で医師の関野吉晴さんがゲストだった。

そこで、大変興味深い話を聴いた。ちなみに「興味深い」いうのは、異ジャンルのまったく自分に関係のないことが、何かの拍子に、一気に自分ごとになった瞬間、つまりただの知識が、自分の中で「考え」や「哲学」に消化されることがぼくにとっての興味深いということだ。

なぜ、最初の人類は旅に出たのか?

人類の起源がアフリカにあることに異を唱える学者はいない。しかし、なぜ人類はアフリカを離れ世界中に拡散するに至ったのかについては様々な説があるらしい。

小黒さんがこんな質問をした。「なぜ、旅好きのヤツと定住型に分かれたのか?」と。

関野さんは、好奇心と向上心の強いヤツが生まれた土地を離れ、グレートジャーニーをはじめたのだと最初は考えていた。しかし、「最初はそうだったのかもしれない、でも時代が進むと弱いものが追い出されたということがわかってきた」。どうやら、この話にはエビデンスもあるらしい。

強い者、つまり既得権者は土地に残り、食べ物の不足等で弱い者が村を追い出され、グレートジャーニーはトボトボと仕方なくはじまったのだ。

そして、村を追われた弱者であるぼくらの祖先が、世界の各地でフロンティア(新天地)を発見し、パイオニアになる。ほとんどの人々は滅びていったが、そこに順応しながら強者となって生き残る者がいる。そして人口が増えてくると、またそこに弱者が生まれ、村を追われ新たなグレートジャーニーがトボトボとはじまる。

グレートジャーニーの軌跡は、好奇心と向上心で拡散したのではなく、弱者追放の繰り返しによって拡散したというのだ。ぼくにとってここが興味深かった。何が自分ごとにつながったのか?

グレートイミグレーション〜偉大なる移民たち〜

明治時代の日本の移民は、ほとんどが農民で、長男は土地をもらって日本に住み続けるけど、それ以外の兄弟は土地を離れるしかなく、中には満州やブラジルに渡った者がいる。この人たちは弱者である。これは上述したエビデンスになると関野さん言う。

或いは、強い土地持ちの中国人は秋葉原で爆買いし、日本で豪遊し、中国に戻っていくが、弱い中国人は、大久保辺りに残って働いている。これは、ブラジルから来る移民も同じ構図だ。このことを考えると、「グレートジャーニー」は間違いで、本当は「グレートイミグレーション」だったんだと最近では考えているという。

この話って、強者や弱者の定義や程度が全然違うにしろ、会社の転職や退職、或いは独立企業の話に似ていないか? 既得権者である組織内強者が会社に残り、弱者はそこを離れるしかない。自分自身の独立企業の背景にもそんなことが多かれ少なかれあった。そして、横浜にフロンティアを見つけ、今、パイオニアになろうともがいている。

適者生存

人生はよく旅に例えられる。「グレートジャーニー」が人気を博したのも、視聴者たちはどこかで自分の人生を重ね合わせて観ていたからじゃないだろうか。

ぼくを含めたキャリアについての相談を受けるカウンセラーは、人生=旅というメタファーを何度となく使ったことがあるだろう。そんなカウンセラーにとって、この話は、イマドキを象徴する、メタファーを強化するよいエピソードではないだろうか?

好奇心と向上心の強いヤツがフロンティアを発見したのではない。村を追われた弱者がフロンティアを発見し、新たな環境に柔軟に適応できた者がパイオニアになったのだ。「グレートジャーニー」なんてカッコつけたこと考えなくていい。「グレートイミグレーション」を目指せ。

この話はまさに、ダーウィン(じゃない説もあり)の「強い者が生き延びたのではない。変化に適応したものが生き延びたのだ」という適者生存の話なんですね。

その日の放送はここで聴けます。






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内定をもらってる暇な高校3年生は4月までに映画を100本観たらいいと思うよ。

我が家の長女が、内定をもらっている高校3年生なんですが、「4月まで暇なんだけど、なにかいい目標はないかな?」と相談してきました。

そうなんですよね。高校3年生たちは年が明けると自由登校になったりして、けっこう時間があるんですよね。4月から働くのに、なにもこの時期にアルバイトを勧めるのも野暮だなと思い、今しかできない、今後に役に立ちそうなこととして、「4月までに映画を100本観たら」と提案してみました。

3月から毎日1本+10本観れば目標は達成です。例えばNetflixに加入すれば、1ヶ月の無料体験+2ヶ月だとすると2千円でお釣りが来るくらいでやれる提案です。

この提案にはこんな狙いがあります。

4月に社会に出たら、いつか間違いなく上司のおじさん、おばさんにこんなことを言われる日が来るでしょう。「君は若いから知らないと思うけど、昔○○って映画があってさ」と。この提案をクリアしていると、ひょっとしたら「あ、それ観ましたよ!○○が主演で、ラストが感動するんですよね」なんて返せるかもしれない。

そうするとおじさんやおばさんは嬉しくなって、「じゃあ□□も観た?え、観てないの?じゃあ、絶対観た方がいいと思うよ」なんて話に広がるはずだし、あいつは年に似合わずいろいろ知っているな、なんて評価も上がるかもしれない。

旅行会社に内定が決まっている長女に関して言えば、「〇〇って□□っていう映画の舞台になった場所ですよね」なんていうトークの幅も広がるかもしれません。

映画を100本観ることで、文化資本が一気に豊かになり、豊かになった文化のフックで人とつながることができ、社会関係資本が豊かになっていくことでしょう。また、社会人になり忙しくなると、年間100本観ることも難しくなると思います。

今しかできない、今やってみるときっといいことある提案。あなたもいかがですか?

楽しいことを意味あることに。意味あることをカタチあるものに。

今年一年、様々なカタチでNPO法人パノラマを応援してくださり、ありがとうございました。

 

今年一年を振り返ると、まず思うのは、たくさんの応援者の方々のおかげで「楽しかったなあ」ということです。こんなに楽しく仕事をさせていただいていて、いいのかなぁ、と思うほど、楽しい1年でした。

 

上手くいくことばかりではないと思いますが、多分、来年も引き続き楽しいでしょう。でも、それでいいのかなあ、と『アリとキリギリス』を読み聞かされてきた日本人的な勤労観を持つ自分がいたりするのです。


そこで思ったのが、この楽しいことの持続可能性を高めていくために、もっと意味あるものにしないといけないなということ。そして、パノラマの活動への共感をあげていくためには、意味あるものを共感しやすいカタチにしていくことが大切じゃないかと考えました。


それがタイトルの来年の豊富楽しいことを意味あることに。意味あることをカタチあるものに。です。


楽しいことの中に含まれている意味について、もっともっと言語化していきたいと思います。特に、パノラマがエンパワメントしたい対象である、高校生や若者たちが読んでも、勇気や自信に感じてもらえるような言語化を目指したいと思います。


ここにちょっとビビってて、最近はブログも書けなくなっているんですが、受益者に取っても意味ある啓発活動を目指したいと思います。


そして意味あることをカタチにするために、もっと誇りとこだわりを持って成果について言及し、パノラマの活動の価値を高めていきたいと思います。これがもっとも、楽しいことの持続可能性を高めていくことだと思うんですよね。


その第一弾として、今年の6月からパノラマが組織している「予防支援に於ける成果指標の作成及び在り方検討委員会」のシンポジウムの開催が、年明けの1月22日(日)に横浜市立大学であります。パノラマがカタチにしたいことについて、議論を交わしたいと思いますので、ぜひ、会場に足をお運びください。


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登壇者は以下の委員の方々です。

・中田正敏氏(前々田奈高校校長、明星大学特任准教授)
・高橋寛人氏(横浜市立大学 国際総合科学部 教授)
・田中俊英氏(一般社団法人ドーナツ・トーク 代表)
・鈴木晶子氏(一社インクージョンネットかながわ 代表理事)
・松田ユリ子氏(神奈川県立田奈高等学校図書館司書)
・石井正宏氏(NPO法人パノラマ 代表理事)


お申し込みは以下のFBイベント・ページまたは、npo.panorama@gmail.com までご連絡ください。

https://www.facebook.com/events/222243924880484/


今年もあと数時間と迫って参りました。皆さま、良いお年をお迎えください。そして、来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

NPO法人パノラマで人財募集をしています。

11737854_415285905321212_112135639654983692_n.jpg 【パノラマ採用情報】

パノラマ初の人材募集となります。内閣府「子供の未来応援基金」の採択及び、神奈川県「かながわボランタリー推進基金21」の継続支援(3期継続可能案件の現在1期目)の見込み等による募集となっており、フル勤務となるまでに変則的な雇用となっていることをご承知置きください。

概ね以下のような勤務・給与体系を予定しています。希望があれば12月から()内の待遇になりますがフルタイムの勤務も可能です。

・平成28年12月〜週2.5日程度の勤務(月給144,000円)
・平成29年4月〜週4.5日程度の勤務(月給184,000円)
・平成29年8月〜週5日程度の勤務(月給200,000円)

 
<NPO法人パノラマとは〜理想編〜>
誰もが社会の枠組み(フレーム)から排除されず、包摂される社会を創るとの想いを込め、「すべての人をフレームイン!」をミッションに、子ども・若者の社会的包摂を目指し、平成26年10月から活動をしています。また、ミッション実現するために、教員や保護者へのエンパワメント及び若者採用企業への支援も行い、広く教育と雇用の接続支援を行っています。
Facebook https://www.facebook.com/npo.panorama2015/

<NPO法人パノラマとは〜本音編〜>
社会的包摂と大きなことを言っていますが、プレイヤーは代表理事の石井だけです。その他理事2名、監事1名のNPO法人としては最小形態で、子ども・若者の社会的包摂モデルの構築を行い、成功事例をベースに全国の官民に提案しているのがパノラマです。

小さいということは分業制ではなく、得手不得手に関わらず自分ですべての業務をこなさなくてはなりません。また、常に上司となる石井と一緒にいるとも限らないため、自分で判断し、行動しなければならない場面も多いと思います。

しかも他団体では取り組んでいない、新しいプロジェクトばかりですからお手本もありません。

このようなチャレンジングな団体ですが、組織文化は風通しが良く、大抵のことはFBメッセンジャー・レベルで意思決定し、軽いフットワークでトライ&エラーができる体質があると思います。

また、組織やエリアを超えて、他団体と協力し合えるネットワーキングが強みの組織だと思いますので、常に多くのことが学べる現場を提供できると思います。

このような仕事の仕方に、不安を感じたでしょうか? やりがいを感じたでしょうか? 不安もあるけど、やりがいの方がちょっと大きいと思えた方、是非、以下をお読みいただき、エントリーをご検討ください。

<組織体制>
代表理事 石井 正宏 (株)シェアするココロ代表取締役
理  事 鈴木 晶子 (一社)インクルージョンネットかながわ代表理事
理  事 松田 ユリ子 神奈川県立田奈高校高等学校 図書館司書
監  事 黒川 祥子 ノンフィクション・ライター

<求める人物像>
今回の求人は、石井の高校内での居場所カフェ事業及び相談業務のアシスタントとして、女子生徒のセンシティブな問題に対応していけるよう努力をしていける方で、石井よりも生徒に近い存在として、指導や支援よりも、生徒に寄り添い、成長していける方を求めています。

<募集内容詳細>
業務内容 
1. 高校内居場所カフェの運営(神奈川県内複数校)
・カフェの準備と生徒対応及び企画運営
・ボランティアのマーネジメント

2. 有給職業体験バイターンの運営(神奈川県内複数校)
・企業開拓及び企業との関係維持
・企業と生徒のマッチングのための高校との連携業務

3. 高校内相談業務アシスタント
・高校内での個別相談
・高校外への引率同行支援等

4. その他
・上記業務を円滑に運営するための諸業務各種

雇用形態:フルタイム職員(契約社員)
募集人数:1名
必要資格:普通自動車免許(AT限定←応相談)
雇用期間:2016年12月〜2018年3月(契約更新及び正規雇用への移行あり)
勤務時間:固定業務日以外はフレックスタイム制(在宅勤務可)
勤務地 :主に横浜市を中心とした神奈川県内
待  遇:月給200,000円、交通費全額支給
     社会保険 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険
※ 冒頭に記したように待遇が段階的に変わります。
※ 相談の上、ダブルワークを可能にしたいと考えています。

<選考>
書類選考の上、面接をして決定となります。

<ご応募・お問い合わせ>
応募希望者は、履歴書と職務経歴書(書けない人は不要)を以下に送付してください。

NPO法人パノラマ(採用担当:石井)
〒234-0012 神奈川県横浜市中区相生町3−61 泰生ビル2階
Mail:npo.panorama@gmail.com

<応募締め切り>
2017年1月31日

<終わりに>
弱小のNPO法人の求人ですので、「いい求人」とは言えないと思います。ここから私たちと一緒にパノラマを成長させ、子ども・若者支援業界を発展させていきましょう。

プライスレスな経験なんてない。〜だからこそ相対的貧困にはプライスレスな経験の支援を!〜

プライスレスな経験なんてない

大自然の中で渓流釣りをしている親子に魚がヒットし、子どもが満面の笑みを浮かべる。それを満足げに眺める父親。

その経験プライスレス。

某カード会社が一昔前に流していたCM。プライスレスは、「お金では買えない経験」か。

この間、記者体験をするために集まった高校生たちに、「プライスレスなんてものはないんだよ」という話をした。

例えばCMのお父さん。渓流釣りの装備。大自然の奥まで行く交通費と宿泊費、それに食事代。あの経験をするためにお父さんは一体いくら使ったのだろう。

そこをカードでご負担少なくどうですか?っていうのがCMのコンセプトなんだけど。

すべての経験にはコストがかかっている。つまり、コストが負担できなければ経験は得られない。それがぼくらの資本主義の社会だ。だからプライスレスなんてものはない。

でも、高校生くらいの年齢だと、クラブ活動で頑張って大会で優勝するみたいな、値付けできない価値ある経験はプライスレスなもので、個人の努力で勝ち取ったものだと勘違いしやすい。

大学で講義をするときに、「君たちがそこに座っていられるのは、君たちが生まれた家がそれを可能にしているのかもしれない。君が隣の家に生まれていたら君はそこに座れていないかったかも。どこの家に生まれたかでその人の人生が決まってしまう、それが格差社会なんだ」と、ぼくは話す。

義務教育が終わると、徐々に格差の上にいる人と、格差の下にいる人たちが出会わなくなる。だから、ぼくのしている活動は、君たち若者にもっとも身近でいて、もっとも遠い活動なのだ。

経験の“負の蓄積”が進路選択を限定的にする

経済格差は教育格差に直結していることが明らかなように、貧困が連鎖するのは、得られなかった経験の“負の蓄積”のせいだと言える。貧困の連鎖に若者たちが取り込まれていくと、この国自体が脆弱化してしまう。それはつまりぼくら自身にとっても不利益があるということ。

だから、6人に1人いる子どもの貧困の問題を、なんとか解消していかなければならない。ということで「子どもの貧困対策の推進に関する法律」ができた。でも思うのは、政治的コンセンサス(合意)は得られたものの、市民的コンセンサスが得られていないのがこの国の現状だということ。

貧困女子高生報道の炎上

今さら詳しくは書かないが、貧困状態の女子高生がNHKのニュースに出て、ネットで国会議員を含めて「叩き」をしている。これは、相対的貧困というものに対するコンセンサスが十分得られていない証拠だろう。

相対的貧困は、お金がないわけではなく、お金が十分にない状態だから、当然のことながら何かしらにはお金は使う。それがネット民たちは気には食わなかったようだ。そして憂さ晴らし的な攻撃が開始され、炎上した。

例えば、デコレーションされたiPhoneを派手なネイルで弄っている茶髪フルメイクの女子高生が貧困だとは誰も思わないだろう。でも、相対的貧困というのはそういうところに潜んでいる。そして、当事者たちは、誰にも気づかれないようにしている。

相対的貧困は絶対的貧困と違い目に見えないのだ。

茶髪フルメイクの女子高生は、率直に言ってお金を使うプライオリティがおかしいわけだけど、そのプライオリティを決定しているのは仲間意識だったりする。もしかしたら、叩かれた女子高生の属すグループでは、ジャニーズにコンサートに行ったことないことはダサイことなのかも知れない。或いはカラコン入れてなかったらダサくそのグループには属せないのかもしれない。

或いは、あるアニメの映画を何度も観たことでステイタスが上がるのかもしれない。要するに、三度の飯よりも大切なものがあり、それが仲間なのだ。あるモノを持っていたり、体験していなければハブられる的なヒエラルキーがあったりするのがこの年頃のだったりする。

子ども・若者の貧困問題を考えるときに、このような視点はスティグマの問題と絡め、念頭に置かなければならない。

プライスレスな経験を子ども・若者に!

相対的貧困っていうのは、カネで買えないプライスレスな経験ができないことなんだよ。だから、カネで買えるものでごちゃごちゃ言うのはやめようぜ。叩かれた女子高生で言えば専門学校に行けないことで貯まる、得られなかった“負の蓄積”が問題なんだよ。

彼ら、彼女らにプライスレスな経験を国や民間があの手この手で提供することこそがぼくは貧困対策だと信じている。子ども食堂も、課題集中校における校内居場所カフェも、そのひとつだ。

今回の件で女子高生は深く傷ついている。学校に行くのも、外出することも大変なことだろう。彼女の傷が一日も早く癒えることを願ってやまない。そして、相対的貧困への理解への貢献をソーシャルセクターは全力で尽くしていくべきだ。
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